ジ・アライヴァル・オブ・ヴィクター・フェルドマン・トリオ

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ジ・アライヴァル・オブ・ヴィクター・フェルドマン・トリオ

『ジ・アライヴァル・オブ・ヴィクター・フェルドマン・トリオ』

・国内ワーナー/P-7595
・米国Contemporary/S7549/C3549(Mono)

 

不用になったレコードを処分する。毎度のことながらいつも悩みの多い作業だ。数十年くらいその度に悩んできたことになるが、いつまでたっても売る/売らないを判断するポリシーが定まらない。愚かな作業だが、愚かなりの幸せを感じる時も...。

今回の悩みの種は「あれ?こんなもの持ってたっけ?」と、はたと手を止めた『ジ・アライヴァル・オブ・ヴィクター・フェルドマン・トリオ』。

日本ワーナーの見本盤。どれどれ、どんなんだっけと、これも毎度のことながらよせばいいのに聴いてみると、このアルバムが本格デビューとなるスコット・ラファロの躍動感あふれるベースが素晴らしい。基本ピアノ・トリオ編成だが、ビル・エバンスのトリオと違ってフェルドマンがヴァイブを演奏する。ヴァイブなので、ピアノより空間とハーモニーに余裕があり、ベースがよりハッキリと際立っている。ラファロを中心に聴こうとして、エバンスのピアノが邪魔に感じる(失礼!)てなことがない。

おお、いいじゃないか、売るのよそうっと...。

そう決めて他に選んだ不用盤をレコ屋に売りに行き、そこで不幸にも?同じアルバムの米国コンテンポラリー盤を見つけてしまう。緑のレーベルなのでおそらく70年代の製造。ン百円という値段に惹かれてレコードを売った金を使ってしまう。愚かな自転車操業だけど、地元の中古レコード屋を支えなくちゃ、と自分に言い訳。

米国盤はさすがに倍音が豊かでベースの音がひき締まり、さらにグイグイとラファロが迫ってくる。再発とはいえ国内盤に比べてより立体的だ。でも哀しいことに、今までの2枚はステレオ盤。しかも58年録音という初期のステレオ盤なので、いわゆる泣き別れ、ベースはほとんど右チャンネルからしか出てこない。右からズンズン、ビシバシいってるだけなのだ。しかもこのアルバム、ベースソロがとても多い。

うーん、ソロはやっぱり真ん中からドーンと来てほしいなぁ、きっとモノラル盤はもっと凄いんだろうなぁ、と思うといてもたってもいられず、すぐさまebayで検索。

まぁ、たいていあるもんなんですね、これが。

米国コンテンポラリーのオリジナルモノ盤。裏ジャケの写真がなく、本当のオリジナルかどうか判別はできなかったけれど、4千円しないくらいの値段なんでまぁいいかと落札し、1週間ほどで到着。

待ってましたと針を落とすと、当たり前のように真ん中からズドーンと音が飛び出してくる。ショパンの「ワルツ」でのひきずるような3拍子のベースソロがグイングイン押し寄せてくる。開放弦を弾くバビーンという音もより衝撃的だ。ああ、よかった。

音はよかったのだが、結局1枚処分しようとして、同じアルバムが3枚に増えている。なんでだろう...?首をかしげてみせても、カミさんが許してくれるわけじゃないんですが。